美しく権力がある男と、その男に愛される女たちの物語。
時の権力者であり己の意思を無視して襲った道長への感情は、純粋な憎しみなのか、もっと複雑なものなのか、穏やかな紫式部の振舞いからは伺い知れない。
平安時代は決して平安ではなく、非力な女性が泣き寝入りしなければならない時代だったのかも。(そんなモラルが低い時代があったとは思いたくないけれど…)
自らが紡ぐ物語の中で、「男は恋する女をこう扱うべきだ、こうであって欲しい」という理想を描くとともに、道長の投影である光の君を愛人や妻の死、不倫の恋で苛んで復讐を果たす、という解釈は「なるほど」と納得がいきました。
以前瀬戸内寂聴さんが仰っていたシーン(光が抵抗し逃げようとする女性(多分藤壺)の長い髪を掴んで捕らえるところ)はなく、最終的に藤壺が光を閨に誘っていたのにはガッカリ。
道長が紫式部を捕らえるところで表現していたのかも知れないけれど、映像としてインパクトが足りなかったような。
紫式部の表情から別な解釈や想像ができそうだし、衣装も舞台も一度見ただけでは物足りないぐらい豪華だったので、またDVDやBlu-rayで発売されたらじっくり見てみたい。
この映画の原作も読んでみたいし、源氏物語もまた読み返してみよう。